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平成19年定例句会
開催日 課  題 佳吟賞 秀句賞
 12月 12月19日  祝う 重 本 な し
 11月 11月27日  門 出 萩 田 今 村
 10月 10月23日  爽やか 松 岡 重 本
 9月 9月25日  打つ 松 岡
 8月 8月22日  示す 今 村 松 岡
 7月 7月24日  黎 明(夜明け) な し
 6月 6月26日  意 気 井 上
 5月 5月22日  故 郷 川 井 な し
 4月 4月17日  艶(つや、えん) 萩 田 な し
 3月 3月27日  進 歩 井 上
 2月 2月20日  求める 重 本 な し
1月 1月23日  挨 拶 な し














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12月句会模様


平成19年12月19日 佳吟賞  重 本
課 題 門 出 秀句賞  該当なし




いよいよ押し迫り今年の結びの句会になってしまった。

今月は六幼47期が靖国神社等の定例参拝の月であり、年末は忙しいということで約1週間繰り上げ、定例参拝と同じ19日(水)という変則な日の句会となった。靖国、千鳥ケ淵、自衛隊慰霊碑と廻ったので、結局句会開始が16:40頃となった。テーブルの隣には参拝参加者の流れと引き続く拡大世話人会への参加者が詰めかけ、超特急の慌しい例会であった。このため選句が精一杯で、いつものようにゆっくりと鑑賞している暇がなかったのは残念!!でした。

秀句賞は該当なく、佳吟賞はめでたく重本君が今年2回目の獲得で平成19年の掉尾を飾った。

来年も「頑張りましょう」が合言葉です。
課題句 喜寿越えて米寿を目指す祝い酒 井 上
子や孫と囲む幸せ初春(はる)の膳 今 村
百歳を祝う役所の百万円 川 井
誕生日どうして欲しいと妻がきく 熊 本
世は長寿傘寿の祝いも先送り
年寄りの神輿が祝う秋祭り 重 本
棟上げを祝い屋根から餅を撒き 萩 田
敬老会祝いの餅に歯を取られ 松 岡
自由句 党益の亡者国益そっち除け 井 上
DNAのくさりで親子結んでる 今 村
予報士の演出に凝る見せどころ 川 井
「ありがとう」が四十年の夫婦の根 熊 本
富籤は大吉と出てそれっきり
正夢ならも一度見たいと目を瞑る
省エネは重ね着でする昭和の子
重 本
布団干し日向の匂い嗅いで寝る 萩 田
今年よりましになってと除夜の鐘 松 岡




課題吟「祝う」
年寄りの神輿が祝う秋祭り 過疎化で若者がいない、でも祭は続けたい
喜寿越えて米寿を目指す祝い酒
世は長寿傘寿の祝い先送り
高齢化で喜寿、傘寿などは価値が下落。せめて米寿でなくては、でも祝わなくっちゃ
敬老会祝いの餅に歯を取られ 入れ歯に餅は禁物。敬老会と結び付けた所が絶妙
百歳を祝う役所の百万円 だんだん百歳が増えるから役所が破産するのでは
誕生日どうして欲しいと妻がきく 祝と言わない所がいい。ただし中8が惜しい
子や孫と囲む幸せ初春(はる)の膳
棟上げを祝い屋根から餅を撒き
定型的。平凡。
  
自由吟
富籤は大吉と出てそれっきり 気持ちは判る。厳密に考えると「お御籤」では
辞任論明解ムニャムニャ撤回論 なんと言ったかもう忘れた。時事句の難点
予報士の演出に凝る見せどころ 作者は女性予報士が衣裳に凝っている事を詠んだそうだが、ディスプレーを駆使する予報士と思った者もあった  
正夢ならも一度見たいと目を瞑る 大切に
党益の亡者国益そっち除け 悲憤慷慨の士の句
朝寝床温もり抱いて五七五 寒い起きたくない、でもこの前から川柳の締切が気に掛かる
白い息吐いて登校寒い朝 定型的。平凡。
DNAのくさりで親子結んでる 講義調
遣る瀬ない長幼乱す喪の知らせ 同感
布団干し日向の匂い嗅いで寝る フカフカになった布団を「日向の匂い」とは上手い
赤福が閉ざし欠伸の伊勢参り 伊勢参りの土産は何にすれがば良いのだろう
葱も人も霜を潜って味が出る 苦労が大切ということを上手く現した
省エネは重ね着でする昭和の子 原始的に安価に実現する癖が付いている
今年よりましになってと除夜の鐘 本当に「偽」の年でなく少しは良くなって欲しい
「ありがとう」が四十年の夫婦の根 この夫婦、本当にこんな理想的なことを言っているのだろうか?
寒波来て狂った夏を思い出し この夏の狂ったような極暑の反対に極寒にならないか心配です(地球が狂いだした)








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11月句会模様


平成19年11月27日 佳吟賞  萩 田
課 題 門 出 秀句賞  今 村




紅葉もいよいよ平地まで下って来て、全国のもみじ便りが聞かれる。

今月の題「門出」もまた類型的な発想が競争になった。その中でわれわれの入校と敗戦復員の2点に関心が絞られた。矢張り敗戦のショックのほうが大きかったか、後者が得点勝ち。
また時事句で民主党党首の辞める辞めないの茶番を4句も採り上げられたが、めぼしい句もなく相打ちのなった。

佳吟賞はめでたく萩田君が獲得したが、最近導入した最新の液晶薄型地デジテレビにまつわる句ですべてが4点以上、計11点を稼ぎ最新テレビの霊験あらたか。また秀句賞は今村が敗戦で否応なしに立たされた門出で頂いた。
課題句 フルムーン孫も手を振る日本晴れ 井 上
敗戦で旅たたされた別の道 今 村
定年で老後(おい)の門出楽しさよ 川 井
大連立(れんりつ)の党首なだめて再門出 熊 本
思い出は勝ってくるぞの門出歌
気を揉んだ甥にも嫁が門出の日 重 本
帯剣が腰にずっしり入校日 萩 田
還りなき門出送りし知覧基地 松 岡 
自由句 九条を守って国は護らない 井 上
一軒で布団叩くとあちこちで 今 村
体力の測定してるハイキング 川 井
死ねないよ三年日記買っちゃった 熊 本
見栄切って孔明ばりの演出か
検診は無事CTの保証付き 重 本
薄型テレビ矢っ張り見てる時代劇
かぐやから月の便りはハイビジョン
萩 田
豪腕(すごうで)も空振りをして恥をかき 松 岡




某大野党党首が
出所進退でウロウロ
4句が競作・相撃ち
大連立(れんりつ)の党首なだめて再門出
見栄切って孔明ばりの演出か
辞める戻る火種男の茶番劇
豪腕(すごうで)も空振りをして恥をかき
相撃ちと今一つの句ばかりのせいか皆1点や無点。
2句:孔明張りにいろいろ高等な策を使ったという意味かと思ったら、作者は三顧の礼を尽くして戻って貰ったと。判りにくい。誰かとハッキリ判るのは後の2句
   
課題吟「門 出」
還りなき門出送りし知覧基地 何時までも忘れられない情景。川柳に文語体は固くなる。口語が原則とか
帯剣が腰にずっしり入校日
敗戦で旅たたされた別の道
どちらも心に深く刻まれた経験
幼い少年には帯剣は重かった。しかし方向大変換の敗戦はショック大で高得点に
定年で老後(おい)の門出楽しさよ 定年の時は「ホッとした」「虚脱感」など感想が様々であることが判った。これは「やれやれ派」の句
思い出は勝ってくるぞの門出歌 「出生兵士を送る歌」という歌があった(今年の名幼総会では音楽隊が歌った)。「門出歌」はこなれが悪い感あり
気を揉んだ甥にも嫁が門出の日 最近は男女ともになかなか結婚しない(出来ない)。ほほえましいおじ様が目に浮かぶ
フルムーン孫も手を振る日本晴れ 孫と一緒に暮らす果報者。お土産を忘れないように
   
自由吟
薄型テレビ矢っ張り見てる時代劇
かぐやから月の便りはハイビジョン
最近仕入れた薄型の地デジ最新テレビによってともに高得点句、佳吟賞に寄与。他の者も早く新型テレビを買うのが佳吟賞への早道か
盆暮もボーナスなしの暮らしかな 年金暮らしになったのは大分前(過ぎる句)。ボーナスが欲しいというべき所
あれだけのゴルフみんなで防衛しょう 「防衛しょう」は防衛省に掛けたか? 行為を憎む(羨む?)気持ちだろうが判り難い
名産の偽物DNAが自白する もう少し表現をスッキリしたい。朝日川柳の句。「但馬牛うっかりしゃべる鹿児島弁」
検診は無事CTの保証付き 最近のCTは性能がグンーとよくなったから、結果も確かな筈、良かったですね
体力の測定してるハイキング 筑波山ハイキングの実感。まだいける
一軒で布団叩くとあちこちで 取り込み忘れに寄与。良くある風景で同感
死ねないよ三年日記買っちゃった 確かに以前のことがよく判り便利。空欄が多くならなければとの但し書き付き
使用中苛々待たす長電話 キャッチホンという割り込みサ−ビスがある筈。トイレにも応用できる句
九条を守って国は護らない このとおりという政党が見られる
パソコンで書けば手紙が上手く見え うちの家内はパソコン手紙を嫌います。せめて一言書き添えを
歌舞伎より幕間の膳に誘われて 幕あいと正確によむと「中8」になる








10月句会模様


平成19年10月23日 佳吟賞  松 岡
課 題 爽やか 秀句賞  重 本




秋もいよいよ本格的爽やかな時節になってきたが、今月の題はこの時節に相応しい「爽やか」。しかし例会は先月と同じく、11月の名幼会総会の準備委員会が、川柳定例会の横の席で開かれ何かと気ぜわしい会となった。また井上君が所用で欠席、4名のやや淋しい句会となった。

今月の題「爽やか」をそのまま句の中に入れない工夫の句が2句あったが、結局素直に入れた句が勝ちを制した。これに対して自由句は佳句済々で選句に迷うという感想が多かった。

結局、松岡君が佳吟賞を獲得、また秀句賞は重本君とFax参加の遠隔地勢に軍配が挙がった。松岡君は暫く健康を損ねていたが、秋の気配と共に健康も回復し、同時に秀句賞を連発していたが、今月はめでたく佳吟賞となった。また重本君も先月に続いて秀句賞を連発した。東京勢の奮起が望まれる。
課題句 秋風に人も草木も生き返り 井 上
爽やかに詐欺師が乗せる口車 今 村
郵便局民のサービス爽やかに 川 井
爽やかに風竹林をサラサラと
爽やかな目覚めに生きている感謝 重 本
一年生笑顔爽やか芋を掘る 萩 田
爽やかに引退の弁古田去る 松 岡
自由句 カメラ持って親も駈け出すヨーイ・ドン 井 上
我が家にも給油して呉れ自衛隊 今 村
米軍支援いつまで延ばす特措法 川 井
疲れたと喚き始めた洗濯機 熊 本
女房はゴミ出し場まで一時間 熊 本
赤い羽根にわか善人作り出し
留守事は忘れた頃に妻にばれ 重 本
どんぐりが足をくすぐる森の道 萩 田
五十年偕老の秋迎えけり
ものぐさもコーヒーだけは手間をかけ
松 岡

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鑑賞と評論
絶好のシーズンに相応しいように筆は走らないが、恒例によりいろいろと書き連ねてみた
 課題吟「爽やか」
爽やかに風竹林をサラサラと 新田義貞鎌倉攻めの際の由比ガ浜での戦死者埋葬の塚がある鎌倉・報国寺の竹林での感想とか。しかし句は冴えなかったと作者の弁
爽やかな目覚めに生きている感謝 年を取るほど元気で朝を迎えるのはありがたい感が強い。しかし夜明けが遅くなると暗くなかなか目が覚めないという者がいた。しかし同感多く5点の秀句賞
秋風に人も草木も生き返り 夏が猛暑だっただけこの感が強い。少し纏まりすぎか?
郵便局民のサービス爽やかに とうとう民営化実現。しかし郵便局はなんとなくギコチない。まじめな一句
天高くコスモス原で深呼吸 気持ちがよさそう。句としては工夫が欲しい
爽やかに詐欺師が乗せる口車 鮮やかの方が適切ではと意見あり。議論した結果弁舌は爽やかで、騙す手口は鮮やかと整理した。このような手間も句会のいいところか
爽やかに引退の弁古田去る 「選手ごとき・・」と放言した権力者に噛みついた選手会長古田に皆好感を持っている。惜しい。4点の高得点句
一年生笑顔爽やか芋を掘る ごろごろ出てくる芋に歓声が挙がりニコニコ顔が目に浮かぶようだ
 自由吟
我が家にも給油して呉れ自衛隊 今年も灯油販売が廻って来始めたが、目が飛び出るほど高い。うちにもタダで給油して欲しくなる。内容がセコイとの意見あり
大臣になると省益足をとる 作者によれば、大臣になると官僚と仲良くするために勢いが鈍くなると。表現が一寸判りにくい
留守事は忘れた頃に妻にばれ 留守事が判りにくい。作者によればいいツマミがあったので酒を飲んだと。すぐばれそうな気がするが。酒飲みの着想した句
赤い羽根にわか善人作り出し お付き合いで募金に入れたが、善人でも何でもない。赤い羽根が体裁を作った。着眼・表現よし
どんぐりが足をくすぐる森の道 足(の裏)をくすぐるとは巧く詠んだ
疲れたと喚き始めた洗濯機 洗濯機も古びた。多分キイキイ、ガタガタと騒音を出して、でも洗濯できる。世帯も古い。4点の高得点句
想うたびに血潮の踊る過去があり 当事者以外には判りにくい。「過去があり」は悪いイメージもある
五十年偕老の秋迎えけり 偕老五十年は同感。も少し工夫があればもっと良かったかも
涼風に木犀香り深呼吸 猛暑だったので咲かないと思ったが、時期になればチャンと咲いていたと作者の弁
さあやるぞ今日が一番若い僕 若いみたいという意味か?
2番目の課題句と並べて作ったか
カメラ持って親も駈け出すヨーイ・ドン この風景は幼稚園が一番多いようだ。小学校は少なくなる
若者の新語のセンス感心し 若者は新語を多産する。そしてツボを押さえて言い当てている。しかし年寄りはすぐ忘れる
政策も政局がらみに操られ 政権奪取へ気持ちがギラギラしている
女房はゴミ出し場まで一時間 近頃は井戸がないせいか。現代版井戸端会議。4点の高得点句
米軍支援いつまで延ばす特措法 テロはなんで起きたかまで考えると疑問多し
ものぐさもコーヒーだけは手間をかけ 典型的コーヒー好きの行動。同感。小生も同じ行動をとっています。5点の高得点句。佳吟賞獲得にテコ入れ

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9月句会模様


平成19年9月25日 佳吟賞  榊
課 題 打 つ 秀句賞  松 岡




来たる11月の名幼会総会は47期が幹事で何ヶ月も前から大熊委員長の下実行委員会が開かれ、この日は丁度川柳定例会の横の席で開かれていた。そのため何かと気が散り、また榊君は川柳とこの会を掛け持ちの気忙しさである。
今月は井上君が坐骨神経痛とかで錬兵休で、実質川井、萩田、今村の3名の侘しい句会となった。

今月の題「打つ」も先月の「示す」と同様、簡単そうで意外と難しい題であったとの感想が多かった。広辞苑を引いても「打つ」は説明項目が一杯並んでいて迷う。

佳吟賞はこのところ快調の榊君が本年4度目の受賞、お見事でした。秀句賞は先月に続き、漸く秋の兆しが見え初めて元気になったか、松岡君が連続獲得した。
課題句 胸を打つ津軽三味線撥(ばち)の冴え 井 上
メル友に打てど響かぬもどかしさ 今 村
ゴリラ君嬉しいのかよ胸たたき 川 井
本塁打で元いたチームへ恩返し 熊 本
打つ手なく長考紛いの小休止
桴(ばち)捌き目立つあの子がうちの孫 重 本
予防接種打って今年も無事に過ぎ 萩 田
今かぐや打ち上げられて月の旅 松 岡
自由句 今日も晴れ居坐る夏に音を上げる 井 上
めんどりが市ヶ谷台で時つくり 今 村
ノラクロの漫画が今も愛される 川 井
もったないすぎて火を吹く扇風機 熊 本
長祝辞済んでヤレヤレ義理拍手
五大陸つなぐ五輪がゼニに見え
孫の夏爆竹なみに爆ぜて過ぎ 重 本
蝉の声嵐去ったと告げている 萩 田
マスコミの餌食にされて安倍は辞め 松 岡
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鑑賞と評論
今月の「鑑賞と批評」は、川柳の批評よりこれを種にに社会現象について、談論風発の会に傾いた感がり、その一端をご披露することになった
 課題吟「打つ」
今かぐや打ち上げられて月の旅 今年の中秋節(旧暦の8月15日)は丁度句会の9月25日、科学の粋を集めた月探査衛星と日本最古の竹取物語の主人公「かぐや姫」取り合わせは絶妙。諸兄の同感を得て高得点句となる          
予防接種打って今年も無事に過ぎ 年寄りはインフルエンザに注意が肝要。予防接種をしておくと普通の風邪も軽くて済むとか。費用は自治体により様々
打つ手なく長考紛いの小休止 下手な考え休むに似たりとも言う。
メル友に打てど響かぬもどかしさ 無反応にイライラ。インターネットをしないメンバーがその点郵便、電話は歩兵銃と。のんびりしているという意味か?
本塁打で元いたチームへ恩返し プロ野球も年を取りフリーエージェントは珍しくなくなった。よくある現象。中八は残念
ゴリラ君嬉しいのかよ胸たたき 確か威嚇する時も叩いたよね(敬老日の動物園での句)
胸を打つ津軽三味線撥(ばち)の冴え 津軽三味線の音は胸(心か)に沁みる
桴(ばち)捌き目立つあの子がうちの孫 孫自慢の一句。この句も前句と同じ三味かと思ったら、作者によれば祭太鼓の「ばち」でした。盆踊りでも太鼓叩きの上手な子を良く見かけます。音楽のドラム叩きで慣れているせいか
 自由吟
ワッシャ一つ忘れ飛行機燃え上がり 因果関係を説明し過ぎではないか
横綱も世間知らずの相撲バカ 朝青龍の一件は考えるほど腹が立ってくる。本人、親方、相撲協会・・・と際限なく。KDの元アナウンサーも一寸批判したらしっぺ返しが来た
子のリズム人気はおしりかじり虫 かつての「だんご三兄弟」並みとか。川柳も理解を深めるためには子供番組まで目配りが必要。同居家族に軍配
長祝辞済んだヤレヤレ義理拍手 一般に長祝辞は大学の先生は多いような気がするが如何(披露宴で経験あり)。拝聴しているうちに腹が立ってくる。言い回しに滑らかさがあれば言うことなし
孫の夏爆竹なみに爆ぜて過ぎ 夏休みに孫襲来。大騒ぎの状況が目に浮かぶ。作者によればお祖母ちゃんは洗濯で大変だったとか。察するに祖父さんと祖母さんに孫だけを預けたか
本物の王子の笑顔日本一 王子はハンカチ、ハニカミ、ぽっちゃり等多々あり。いや親王殿下では(ならば皇子では)と議論百出、難解でした
めんどりが市ヶ谷台で時つくり 女性大臣が次官人事で大騒ぎ。権力者への取り入りが旨いこの人、沈む泥舟からいち早く逃げ出した。神聖な市ヶ谷台で不快な現象
象さんが見てちょうだいと敬老日 暇に任せて敬老の日に上野動物園に行ったら、象さんが一列になって大行進。
今日も晴れ居坐る夏に音を上げる この夏の暑さ、9月になってもまだ暑い。どう川柳に表現しようと皆思った。ピッタリの表現と一同意見が一致(高点句)
おばさんは言ってる総理可哀想
マスコミの餌食にされて安倍は辞め
マスコミに寄ってタカっていじめっられた総理、いじめられっ子のように。おばちゃん達は「お可愛そうに・・・」といっていた
蝉の声嵐去ったと告げている 蝉は台風が近づくとピタッと鳴かず、過ぎたら途端に騒々しく鳴き始める。自然の妙
休肝日痩せ我慢張る二三日 歳を取ったのだから肝臓を休めようと一旦は思った。しかしもう80歳だ、つまらぬ意地は無駄と理屈をつけて中止。作者の弁
五大陸つなぐ五輪がゼニに見え 競技施設だけならまだしも、招致段階、放映料等々何やかやとゼニが掛かる
もったないすぎて火を吹く扇風機 昔の電気製品はコンデンサーや整流器などの部品が経年劣化に弱いので要注意。いっそのこと10年経ったら使用禁止にしたら
ノラクロの漫画が今も愛される 田河水泡「のらくろ館」が江東区森下文化センター1Fにあるそうです。若い人にも結構評判とか









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8月句会模様


平成19年8月22日 佳吟賞  今 村
課 題 示 す 秀句賞  松 岡




今月は月末に「夏の集い」があるので拡大世話人会は休会。このため句即快川柳の例会は翌日の偕行社の靖国神社等定例参拝の後に開催された。参拝に参加の川柳メンバー以外の諸君も合流して同じテーブルに陣取って、連日続く猛暑で茹だった頭や身体を生ビールで冷やしながらの、やや騒々しい会となった(一応仕切りを付けたが)。

今月の題「示す」は、簡単そうで意外と難しい題であったとの感想が多かった。
自由吟の得点は散らばったのに対して、課題吟はやや具体的ではっきり分る句に点が集まり、これが佳吟賞や秀句賞に反映された。
佳吟賞はホームページ管理人今村が一年ぶりに頂戴、秀句賞は南国高知の猛暑を耐え凌いでいる松岡君が獲得した。
課題句 祖父さんの威厳を示す咳払い 井 上
青信号前と左右に指を差し 今 村
核の日に核廃絶を又示す 熊 本
敬礼の手本を示す護民さん 萩 田
指さしの道標(しるべ)に頼るへんろ道 松 岡
自由句 落選の弁締まらないクールビズ 井 上
塾女組しゃべり続けて京都下車
もう一人出来たら綱に灸を据え
今 村
敗戦を講堂で聴く虚脱感
被爆国しょうがないでは恕されぬ
川 井
まずいのはレシピのせいと妻がいい 熊 本
人ダウン蝉は我が世と大合唱
フタに付く飯粒まずと戦中派
開票率零(ゼロ)で当確出す不遜
名が出ないやあと握手で場を凌ぎ
重 本
コウノトリ自分の巣にも子を配り 萩 田
平均齢超えて人生おまけ付き 松 岡
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鑑賞と批評
 課題吟「示す」
祖父さんの威厳を示す咳払い 最近は祖父さんも威厳がなくなり、最近では咳払いはせいぜい存在を示す程度。なお咳払いを止める妙薬は禁煙。
指さしの道標(しるべ)に頼るへんろ道 指さしの印が付いた道標は、いかにもお遍路の風景に合う。景色の見える句
日本の国威トヨタの世界一 トヨタが世界No.1になり日本の国威を示した呉れているが、「示す」にたどり着くのに一寸時間が掛かる感じ
選挙での民意は天の啓示に似
民意かなぁ流行(はやり)人気に乗っただけ
参院選で民主党が勝ったのは敵失。この2句は庶民の感覚と一寸違うのでは
核の日に核廃絶を又示す どうも核廃絶のアッピールがワンパターン化。
敬礼の手本を示す護民さん 入校時いろいろ模範を示した護民さんはマブシかった(句会で原句を添削修正)
青信号前と左右に指を差し 念には念を入れて。特に信号のない交差点は危ない
   
 自由吟
敗戦を講堂で聴く虚脱感 人生最大の虚脱感。正確に言うと講堂では雑音でよく分らず後で分って虚脱感が来た。今となればこれでよいのではでは
広重の雨に暑さを救われる 広重の夕立、でも絵なので救われない。せいぜい「欲しい」位でよいのでは
塾女組しゃべり続けて京都下車 ジパングクラブで「ひかり」に乗ると、この手の組が近くにいることが多く閉口する。そして皆京都で降りる。家内もこうして睨まれたことがあるといっていた
平均齢超えて人生おまけ付き 平均寿命男78.5歳は我らのほぼ現在の年齢。平均年齢の仕組みから見て今生きている者は皆おまけ付き。元気で長生きしましょう
人ダウン蝉は我が世と大合唱 猛暑続きで人皆アップアップ。でも蝉は元気に鳴いている(今年は特に多いような気がする)
  
コウノトリ自分の巣にも子を配り 人間に赤ちゃんを持ってくるコウノトリが、自分にも配ったとは着眼点が面白い。豊岡のコウノトリの雛に幸あれ
開票率零(ゼロ)で当確出す不遜 いくら出口調査などでた分析が進んでいても開票率ゼロで当確とは、本当に不遜です。その証拠に「当確」を打ったのが「落選」も確かあった
いい弔辞言ってる人を見直した 故人を追憶し会葬者一同を感動させるような弔辞を読む名人には感心する
被爆国しょうがないでは恕されぬ こんなことを言う大臣は本当にしょうがない。「恕す」と表現した作者も度量の広い人のようですが許せないのでしょうね
名が出ないやあと握手で場を凌ぎ 本当にこんなことが増えました。幹事さんは大きな字の名札の用意が必須
  
もう一人出来たら綱に灸を据え 真っ先に相撲協会のだらしなさに腹が立つ
フタに付く飯粒まずと戦中派 同感。でも作者自身は飯と焚かないのだから想像(気持ち)だろうと一同で冷やかす
終戦忌灯ともす母は百一歳 8月15日の全国慰霊追悼式で、学徒出陣の息子を戦死させた車椅子の百歳余の母親の姿が目に焼きついた
鐘響く蝉の音頻り原爆忌 広島の原爆忌では、黙祷すると静寂の中、鐘が響き蝉時雨が聞こえてくる
落選の弁締まらないクールビズ クールビズも良いが、落選した大物が落選の弁をこの格好で語っているのはなんとなく締まらない
まずいのはレシピのせいと妻がいい 作者は昔は娘さん、そして結婚した今は奥さんを句材で佳句を作っているが、大分類型化・マンネリ化の傾向









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7月句会模様


平成19年7月24日 佳吟賞  榊
課 題 黎明(夜明け) 秀句賞  該当なし

梅雨もどうやら終わり近く、東京もこの日は良い天気で暑い日になった。今回は普段滅多に休まない萩田君が体調やや悪く欠席(投句のみ)、他の在京メンバー4名、地方を合わせ計7名の例会となった。

今月の題「黎明(夜明け)」は結構捉えどころのない難しい題であったとの感想が多かった。
榊君は先月に続き特に時事吟が快調で、目出度く今年3回目の佳吟賞を獲得した。この勢いに薙ぎ倒されたせいか秀句賞は該当なしとなった。
課題句 黎明は望めど遠しエレサレム 井 上
   眠り途切れ夜明け来るのが待ち遠し 今 村
宇宙旅行余命とどかぬ夜明け前 川 井
夜明け前深夜ラジオが子守唄 熊 本
朝焼けの雲海を行く格安便
昨夜気(ゆんべけ)でポツンと始発待つ夜明け 重 本
イオカード用途広がる黎明期 萩 田
日本の夜明けの幕を龍馬引き 松 岡
自由句 スローライフ敵失誘う技を持ち 井 上
   台風が目をパッチリと寄って来る 今 村
生徒監米寿燦たり一人旅 川 井
やっと五句どの句が良いかで又悩み 熊 本
年金で国是の論は蚊帳の外
詫び状の載らぬ日のない社会面
泣きながら舌鼓打つ芥子漬 重 本
涼み台の心地懐かし西瓜食う 萩 田
生きている証しが朝の定期便 松 岡




鑑賞と議論
イオカード用途広がる黎明期 最新のIC乗車カードはスイカとパスモ。定期やクレジットの機能も付加され、大層便利になった。その前段階の単純なイオカードはこれらの「黎明期」だった!でもちょっと表現がオーバーでは?
朝焼けの雲海を行く格安便 だんだん夜が開け朝焼けに輝く機窓からの景色は荘厳でもある。でもこの景色が見られる格安便は大変な早起きの努力が必要。早起きは三文の得
夜明け前深夜ラジオが子守唄
眠り途切れ夜明け来るのが待ち遠し
朝まで何も知らず眠れた年頃は今は昔、加齢の今深夜ラジオを愛用している諸兄が多いことが判った。
1句:聞いているうちにまた眠ってしまった
2句:昔年寄りからよく聞いた。今は深夜ラジオでも聴けばいいのに
昨夜気(ゆんべけ)でポツンと始発待つ夜明け 「昨夜気(ゆうべけ)」は広辞苑にあった。西の訛りで「ゆんべけ」。朝まで持ち越しの経験多々あり
宇宙旅行余命とどかぬ夜明け前 いくら寿命が延びて(百歳超)も不可能
日本の夜明け幕を龍馬引き 選句段階で作者を想像した高知発信の句
        
  
クールビズパンツいっちょの爺元気 パンツよりステテコや越中褌を連想。
改作例:クールビズ裸ステテコ元祖なり
朝顔市うちはもつけて威勢いよく 八王子の朝顔市とか。うちはと威勢の結びつきが一寸?
年金で国是の論は蚊帳の外 選挙近くなり各党はこれ幸いと庶民に受ける年金に焦点を当てた。参議院選挙がこれだけではお粗末では
生ビール夏場の味はビアホール 見るからに旨そう。でも句は類型的か
やっと五句どの句が良いかで又悩み 五句も出来れば上等。毎月三句やっとの苦吟子から見れば羨ましい限り
  
ジジババと自分のことは棚に上げ よく判るがもう少しインパクトがある表現ならいいのに
台風に梅雨吹き飛んで蝉しぐれ 選句時台風の模様がピント来なかったが、高知住人の作とわかり納得。川柳にもローカル色が表れた例
遠く病む友のおとずれ今日も書き 先日亡くなった高橋茂雄君を偲んで。「おとずれ」は便り。自分が書くなら「友の・・・」でなく「友へ・・・」ではないかと侃々諤々の大討論へ発展した
泣きながら舌鼓打つ芥子漬    「・・・泣き泣きほめるわさび漬け」。芥子漬けも同じ。辛い、美味い。
生きている証しが朝の定期便 健康を維持するためには、栄養(食物)を身体に入れて順調に体外へ出すことがことが大事です。同感
   先頭へ
詫び状の載らぬ日のない社会面 謝罪広告と謝罪会見が大賑わい。社会にはお詫びに値することが本当に多いです
あんさんもあたいもあほでおあいこや 漢字が一字もない例。関西弁で面白いが、一寸吉本興業タレント風過ぎるか
生徒監米寿燦たり一人旅 西宮生徒監は奥さんを亡くされ、また47期は七人の生徒監に指導いただ。たが生存はお一人だけ。しかもご壮健!!
台風が目をパッチリと寄って来る 台風4号の目はパッチリとした美人だった。しかし大暴れした怖い台風でした
涼み台の心地懐かし西瓜食う 涼み台で辺りに種を吹き飛ばしながら西瓜を食べる。正に日本の夏の風景であった
スローライフ敵失誘う技を持ち 「人生は他と競争するとき、ゆっくり構えると敵がぼろ(隙)を見せることがあるという老巧者の技」と作者は言っているが判り難い









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6月句会模様


平成19年6月26日 佳吟賞  榊
課 題 意 気 秀句賞  井 上

ちょっと雨が降ったが休み勝ちの梅雨である。やはり梅雨は梅雨でちゃんと降って欲しい。例会は久しぶりに在京メンバー5名が揃い、地方3名と合わせ8名全員参加になった。平行して談話室の向側では秋の名幼総会の実行委員会が打ち合わせをやっていて、榊君は掛け持ちで気忙しい。

今月の題「意気」は、8人中4人がカデ時代へ発想が行ったようで、残りもハンカチ王子の影響か、応援団が元気な野球を連想した。どうもたった2年半の観武臺の生活が染み付いているようだ(といって句会で笑いあった)。
久しぶりに佳吟賞は榊君が満遍なく得点し今年2回目の獲得、秀句賞は「先頭打者のホームラン」の句で3ヶ月ぶりに井上君が獲得した。
課題句 意気上がる先頭打者のホームラン 井 上
   意気の題汨羅の淵の歌詞浮かぶ  今 村
頼山陽唸る詩吟はカデ仕込み 川 井
佑ちゃんでフアン増え早稲田意気上がる 熊 本
思い出は雄叫び合ったKD暮らし
行革に見たい首相の心意気 重 本
同期会ちょっと背伸びの意気軒昂 松 岡
自由句 トイレにも梅一輪で春を呼び 井 上
   介護まで食い物にする世も末か 今 村
介護保険利用しないでもう八十路 川 井
千の風きいてやめてる墓まいり 熊 本
D席はアゴで彼方と案内氏
一病を楯に要領良く生きる
ご主人が気どって歩くドッグショウ 重 本
伊勢鳥羽を旅した友の遠別離
梅雨入りが遅れ気になる湖水面
萩 田
おふくろの杖が手ごろで重宝し 松 岡

今月も恒例により鑑賞の一端を披露する。鑑賞は句自体の鑑賞だけでなく、関連事項や無関係事項をガヤガヤと雑談して結構楽しいひと時。ご参考まで
意気の題汨羅の淵の歌詞浮かぶ
同期会ちょっと背伸びの意気軒昂
頼山陽唸る詩吟はカデ仕込み
氷砂糖遠泳の意気分け与え
この4句は兼題「意気」で一直線に「カデの意気」を連想したようだ。
1句:上5の「・・・題」の表現がもう少し練れたらの感
2句:座6、漢字だからまあ良いのでは。「背伸び」は曲がった背をのばすのか、背伸びして元気振りを示しているのか、気分は分かるがやや不明。
3句:ほろ酔いで「鞭声粛々・・・」、昔習った詩吟が出る
4句:氷砂糖が遠泳の意気になるか?
「氷砂糖で遠泳の意気盛り上がり」としては如何
   
佑ちゃんでフアン増え早稲田意気上がる
意気上がる先頭打者のホームラン
この2句は兼題「意気」で応援盛んな「野球」を連想した。 
1句:説明調  
2句:でも試合は負けたということもある
   
行革に見たい首相の心意気 唯一句、カデや野球のしがらみを脱した1句。
でも安倍内閣は「美しい国」を強調しているが「行革」は余目立たない気がする
   
おふくろの杖が手ごろで重宝し 杖愛好者曰く。おふくろさんの杖では寸法が短いのでは、でも買いに行くのが恥ずかしいので間に合わせることもままある。
年金の祟り与党に八つ当たり 八つ当たりの主体は庶民だろう。正確に言うなら標的は政党でなく、社会保険庁と自治労ではないか
駄目犬は調教済めば元通り
ご主人が気どって歩くドッグショウ
テレビでペット番組を見ていることを証明する2句。本当に動物、ペットはテレビでは餌のCMなど番組が多く、平和な証拠
千の風きいてやめてる墓まいり 墓参りを前は「聴いて泣かずに」だったが今度は「聴いて止めている」ようだ。4月に続いて「千の風」を種に省力化(手抜き?)。
介護保険利用しないでもう八十路 保険料も上がって馬鹿にならないが、でも介護保険のご厄介になるより良しとする
   
逝く春を花は静かに歌い終え 普通なら「行く」では。気取りすぎ
D席はアゴで彼方と案内氏 着想は良いが表現が硬い。順序、かな、漢字をいじるとすれば
「D席はアチラと顎で案内し」か
伊勢鳥羽を旅した友の遠別離 一昨年秋鳥取県から元気で参加し、先日亡くなった高橋茂雄君を偲んで
利子税金払わずバンク大儲け
介護まで食い物にする世も末か
共に悲憤慷慨の士の句
トイレにも梅一輪で春を呼び これも気取った句か
訃報欄年下の数多くなり 事実報告調。強い主観が欲しい
一病を楯に要領良く生きる 楯の表現が上手い。最近は一病どころか片手くらいの数の病気を持っているいう仁あり
ダービーをウォッカ制すメス強し 牝馬が混じって重賞レースを制した意外性は良い句材だが、「メス強し」の表現がギラギラし過ぎ
梅雨入りが遅れ気になる湖水面 「湖水面」の表現は、貯水池が近くに住んでいないと出てこない









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5月句会模様


平成19年5月22日 佳吟賞  川 井
課 題 故 郷 秀句賞  該当なし

不順だった皐月の天候もやっと安定して爽快な日々が続くようになった。
今月の題「故郷」は誰もが感じているものだが作句上では意外と扱いにく難題である。8人中の半数が3点句となる状況は、みんなの心のうちの「故郷」のイメージ(小川、田圃、森などがある里の風景)が同じようであること現しているのかも知れない。
久しぶりに川井君が3句とも佳句で万遍無く得点、ダントツの佳吟賞となった。秀句賞は先月に続き該当なしとなった。
課題句 チャン付けで呼ぶ郷里のクラス会 井 上
   田舎ある友を羨む町育ち  今 村
故郷に生き甲斐見つけUターン 川 井
子供らのふるさとなのかこの団地 熊 本
  マイホーム郷里に近い土地選び
子の帰郷歓迎ムードの山家の灯 重 本
里に来て新たな故郷一つ増え 萩 田
ふるさとの山紫に絵手紙来 松 岡
自由句 渋滞も交通事故も無い茶の間 井 上
   大学も麻疹が流行り子供並み  今 村
みどりの日若葉の風を吸ってみる
連休の人出少子化どこへやら
川 井
親見ても格差無理だよなくすなど 熊 本
  花散って躑躅もただの潅木に
連用の日記たよりで種を播く 重 本
連休は孫とゲームで熱くなり 萩 田
今日もまたしっかり生きて無事重ね 松 岡

今月も句会の鑑賞模様の一端をご披露する。出来るだけ句会の模様を忠実に伝えた積りである
子供らのふるさとなのかこの団地
チャン付けで呼ぶ郷里のクラス会
田舎ある友を羨む町育ち
故郷に生き甲斐見つけUターン
これらの4句はそれぞれ3点獲得の句。各句とも分り易い。転勤族の子供の故郷は何処なの?
1句:鉄筋の団地では小川は無いが盆踊りや夏祭りもあるよ
2句:幾つになっても「チャン」ですか
3句:その昔東京育ち自慢ががつくづく漏らした言葉
4句:これから増える団塊世代もこうなるか
ふるさとの山紫に(の?)絵手紙来 判り難い。故郷から山紫水明を描いた葉書が来たのか、山紫水明の故郷に絵葉書が来たのか
マイホーム郷里に近い土地選び 作者弁:東京から見てみて、出身地が東北方面は埼玉、西の方は神奈川などにマイホームを選ぶ傾向がある(正確に言うと:郷里の方面の近郊・・・)
子の帰郷歓迎ムードの山家の灯 普段年寄り二人で電灯も最小限しか点いていない家も、孫達が帰って来ると明明と明かりがついて賑やか
      
花散って躑躅もただの潅木に 花の時は持て囃されるが散っ後はサッパリ。でも整然と刈り込んであるとそれなりに美しい
悠仁さま祝い大凧空に舞い 相模川の河川敷では毎年大凧が上がる。今年の凧の文字は「悠」
今日もまたしっかり生きて無事重ね 大病をした人は実感でしょう。お元気に
みどりの日若葉の風を吸ってみる 若葉を見ていると本当に深呼吸がしたくなりますね
親見ても格差無理だよなくすなど 表現が少しきついのでは
大学も麻疹が流行り子供並み 原句は「流行る」、大学生の幼稚ッポさ等を強調するには「流行り」が良いと。鑑賞の結果謹んで訂正
連用の日記たよりで種を播く 昔横着百姓は近所がやるとおりに動いたいたとか。この日記には農業の自主的ノウハウが詰まっている様子
お迎えも八十(やそ)じゃ居留守も使えない 幾つになってもお迎えは後回しにして下さい
特待生野球以外はみんな有る 勉強の出来る子が特待生になるのは誰も文句を言わない。ピンポンだってサッカーだって柔道だって皆いい。高野連は振り上げた拳をどうやって納めるのだろう
渋滞も交通事故も無い茶の間
連休の人出少子化どこへやら  
本当に人が偏っている。家にいるのが一番安心です
昭和の日迎えるわれも過去人か 「過去人」の表現が硬い。申し滑らかになるといいのでは。たとえば「昭和の日迎えるわれら過去の人」(ニュアンスが少し違うが)
虫偏は虫だけじゃない蛙蛸 たしかに蛙・蛸は虫でなく水棲の小動物。でも句としてはなんとなく収まりが悪い
連休は孫とゲームで熱くなり おじいちゃんの孫付き合いの良さが目に浮かぶ
さりげない付き合いだから仲が良い 確かに人付き合いはあっさりしているのが良い





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4月句会模様


平成19年4月17日 佳吟賞  萩 田
課 題 艶(つや、えん) 秀句賞  該当なし

この春は桜は早く咲いたのにその後が不順、4月も半ば過ぎたのに寒く冬に逆戻りの感。句会もそれに続く拡大世話人会も参加者一同風邪を引かないように注意が肝要の4月でした。

今月の題「艶」は難題で、「艶」と言えば女性・声・皮膚などを連想する定型パターンになりやすい。この罠をうまく避けた句が有利であった。佳吟賞はこの罠をかわした萩田君が獲得、秀句賞は該当なしとなった。
課題句 飲む程にカラオケ楽し声の艶 井 上
   たまの背広足元決める靴の艶  今 村
プロ歌手の艶のある声人酔わす 川 井
艶やかな昔もあった姥桜 熊 本
漆黒の艶にどよめく牛合わせ 重 本
葉の艶がきれいな花を予告する 萩 田
艶の題貰って少し若返る 松 岡
自由句 消費税を背負って廻る寿司の列 井 上
   花咲けど「お詫び」相次ぐ入社式  今 村
昭和館戦時の暮らしもう御免 川 井
千の風聴いて泣かずに墓参り 熊 本
  都路は十八番封じと犬嘆く
異議なしと言っても声に刺残し
また割れた茶碗ぼやく老いの咎 重本
朝採りの野菜に集う花見客
入学式親も洋服新調し
萩 田
小原台桜坂道新帽子 松 岡

今月も句会模様の一端をご披露しよう。出来るだけ句会の模様を忠実に伝えた積りである。

たまの背広足元決める靴の艶
葉の艶がきれいな花を予告する
「艶」で皆が思う定型パターンの罠を避け得点した2句
二句は花好きの作者の思いが伝わってくる。同感
  
漆黒の艶にどよめく牛合わせ 作者によれば隠岐の闘牛の句。
インタネットで調べてみると隠岐の闘牛は、承久の変で配流された後鳥羽上皇が、島前の中ノ島(現在の海士町)の牧畑で、上皇は子牛が角をからませて戯れているのをご覧になり喜ばれた。そこで里人衆が、御心をお慰めしようと、強そうな牛を集めて闘わすことなったのが、隠岐の牛突きの起源であるとか
役一つやめてすっきり軽い肩 ある会の役を降りてやれやれ。この年になるとそう思います
花咲けど「お詫び」相次ぐ入社式 桜のシーズン、あちこちで社長が会社の失態を詫び、やり直しを誓うのには、若人にとっては目出度い入社式も台無しです
また割れた茶碗ぼやくな老いの咎 歳を取らなくても茶碗はツルリと滑って割れることが多い。洗うときが要注意
そもまんまタミフル飲んで失言す インフルエンザで入院してタミフルを飲んでも、すぐこれを種にするしたたかなタレント出身知事
朝採りの野菜に集う花見客 花見をして新鮮な野菜を買って楽しみ二つ
消費税を背負って廻る寿司の列 回転寿司を食べる時は何がやってくるかに気を取られている。皿ごとに消費税が掛かっているとの着眼点に脱帽(「・・・寿司の皿」の方はよかったのでは)
小原台桜坂道新帽子 珍しい漢字だけの苦心の句。防衛大の卒業式で一斉に帽子を投げるのをテレビで見るが、新入生の帽子姿は?
都路は十八番封じと犬嘆く 作者によれば、都会では地下配線化が進み電柱がなくなり、犬が困ると。なるほど。すぐ分るようにすると面白いのだが
千の風聴いて泣かずに墓参り 「千の風・・・」の歌は大流行。つい涙ぐむ墓参りも予めこの歌を聴いてつっかえ棒をする面白さ
  
入学式親も洋服新調し 子供は制服で親(主に母親)の服装(洋服:昔は着物)が目立つ。この際にと便乗して新調したか
この動悸ときめきだった若い頃 艶話かと思ったら作者によれば、歳を取り坂道で動悸をするが、若い頃だっら違った動悸だったのにとの意とか。少し分りにくい
食って寝て形状記憶の日を暮らし 形状記憶には合金と樹脂がある。作者はその性質のように何があっても(熱を加えれば)ぴしゃりと一定の型にはまった毎日だと言いたかったのか。着眼点は面白いので少し練れていれば、惜しい
昭和館戦時の暮らしもう御免 九段下の昭和館を見学しての感想。本当にみすぼらしく辛い戦時下の庶民の暮らしが展示してある
反省し当選元の高姿勢 某知事選挙で選挙参謀は謙虚に反省を進言し、見事当選したら、記者会見ではやっぱり元通りの高姿勢に
旧悪を肴に宴盛り上がり 年寄りが集まり飲むと、若いときの悪事が肴に大騒ぎする傾向にある
異議なしと言っても声に刺残し 渋々賛成した感じがよく出ている







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3月句会模様


平成19年3月27日 佳吟賞  井 上
課 題 進 歩 秀句賞  榊

東京の今年の開花予想は、全国先駆けて3月20日となった。これを機に日本中が春に突入して行っている。

今月の題「進歩」は結構難しい題であったが、佳吟賞は井上君、秀句賞は榊君(暖冬・・・)が獲得した。

次回4月は4月17日(火)に一週間繰り上げて実施することになった。
課題句 賞められた事は大きく書く日記 井 上
健診に積極的になる体 川 井
佳句拙句すこーしわかるような気に 熊 本
進歩する医療で加速高齢化 重 本
進歩した証に見せるさか上がり 萩 田
世の中は悪知恵ばかり進歩する 松 岡
自由句 貴様俺の顔に帰って同期会
趣味の舟寄る年波に棹を差し
井 上
   御魂までやきもきさせて桜咲く
ドラマでもすぐうるうるの不甲斐なさ 
今 村
仕事離れ生きてることに価値が出て 川 井
恩に着せ手伝わされる台所 熊 本
秀  暖冬で啓蟄待てず虫悩み
花求め靖国詣での気象庁
電話鳴り空気を染めた桜色 重 本
千の風九段の空も吹き渡れ 萩 田
ホリエモん札束持って塀の中 松 岡




六ヶ月ぶりにに編集子も句会に出席したので、披講・鑑賞で出てきた意見などを披露することにした。
改憲に思考停止のご憲党
進歩なし脳の退化を笑い合う
この2句のように題「進歩」の裏返しを読んだ句(一種の関連句)は、川柳の先生よっては始めから採り上げてもらえないこともあるので要注意と勉強家の井上君の言
  
世の中は悪知恵ばかり進歩する 表現が当たり前の感じがするのが惜しい
健診に積極的になる体 健康診断嫌いが進んで受けるようになったのはたしかに進歩ですね
賞められた事は大きく書く日記 このように行動するのは分るが、題「進歩」との結びつきが希薄。「賞める」は誉める・褒めるが正しいのでは
佳句拙句すこーしわかるような気に 中七になるようにする苦労はすこーし分ります
  
昭和の日出来て若やぐ昭和の子 今年から旧「天長節」→「みどりの日」が「昭和の日」になったのは知らなかった。また昭和の子である我々は嬉しがってはしゃがないのでは
ホリエモん札束持って塀の中 莫大な保釈金を2回も払ったが、お金はまだまだ沢山ある筈
貴様俺の顔に帰って同期会 「同期会」は皆が採り上げるのでややマンネリ化
暖冬で啓蟄待てず虫悩み 本当にこの冬は暖冬で大混乱でした。啓蟄と虫は重複で字数がもったいない
電話鳴り空気を染めた桜色 どうやら合格の連絡らしい。おめでとうございます。それなら次のようにズバリ表現した方がよいのでは。
電話鳴り空気を染めて桜咲く
桜咲く空気を染めて電話鳴る
  
快食に快便快眠気配りし 健康のためにこの3点に注意するのは同感。「気配り」はもう少しいい表現はないか
御魂までやきもきさせて桜咲く
花求め靖国詣での気象庁
今年は東京の開花時期で大騒ぎ。相撃ちの見本になりました
   
千の風九段の空も吹き渡れ 流行の「千の風・・・」を桜咲く九段と結びつけたのは上手い。
趣味の舟寄る年波に棹を差し 漱石先生の表現を拝借か。なんとなく哲学的
  
囃子歌七種粥の香る朝 参加者一同地方行事かと首を捻った。帰宅後調べると『七種の時、六日の晩か、七日の暁に「七種なずな、唐土(とうど)の鳥と日本の鳥と渡らぬ先に、七種なずなストトントン・・・・」と囃しながら、できるだけ大きな音を立てて、俎板の上で叩きながら刻んだ(新日本歳時記:新年)」「(例句)俎板の染むまで薺打ち鳴らす 長谷川かな女」』と言うことが判明。失礼しました。1月の句ならよかったのにとは弁解です
風呂敷に湯たんぽ包む友床し 状況が分らずで作者の意図が不明。昔風邪で寝た戦友に水筒に湯を入れ、湯たんぽとしたことか?上の句「七草」と共に難解でした
ドラマでもすぐうるうるの不甲斐なさ 年を取ると涙もろくなりこの始末。涙もろいのは経験豊富になったからと言う説あり





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2月句会模様


平成19年2月20日 佳吟賞  重 本
課 題 求める 秀句賞  該当なし

今年は2月なのに早くも花粉が飛び、過敏に反応している人がいるようだ。今月は出席者4名、選者8名(内FAX選者4名)の定例句会となった。

期待を担って登場した安倍内閣はじりじり支持率が低下しているが、投句にもこの政治情勢に反応したのか時事句が多くあった。残念ながら下表へ掲載には至らなかったが
   党利だけ言の端だけを弄び
のように代議士達の言の端対決のくだらなさを指摘した句も登場した。

今月は重本君がバレンタインや旅のプランを上手に皮肉ってめでたく佳吟賞の獲得した。しかし「秀句賞」は1月に続き「該当なし」となった。

次回3月は3月27日(火)に開催、また4月は4月17日(火)に繰り上げて実施することになった。
課題句 薩摩守で平和求める第九条 井 上
買う決断しないばかりに品が消え 川 井
事務所費の中味は追求できません 熊 本
ネタ求めヤラセ買ってるマスメディア
義理チョコも来なきゃ買おうと見栄を張る 重 本
ハイカーが春求めてる畠道 萩 田
漂って何を求める根無草 松 岡
自由句 頼母しく和して同ぜぬ友のあり 井 上
   今の世は産めよと言って噛みつかれ
CMでは難破船だよ民主党  
今 村
人形焼食って歩いて恵比須顔 川 井
撒くようにティッシュを配るアルバイト 熊 本
  寛げよと言って茶も出ぬ独り者
息災の催促だけの子の電話
旅プラン妻の主張が天の声
重 本
暖冬が豆より先に花粉撒き 萩 田
「くだらん」と言いつつ国会まだ見てる 松 岡









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1月句会模様


平成19年1月23日 佳吟賞  榊
課 題 挨 拶 秀句賞  該当なし

今年初の例会は井上、今村の2人に支障があって欠席、残念ながら出席者3名、選者6名で若干淋しい例会となった。またすぐ後に同期生新年懇親会を控えていたので慌しい例会となったが、順調に選句のまとめや鑑賞など順調に進められた。

今月の課題「挨拶」は、「簡単なようで面倒な課題であった」「自由句は多彩で面白いテーマで句も多彩であった」(川井主宰)。

榊君が課題の「挨拶」の句で抜群の共感を得て、めでたく佳吟賞の獲得した。しかし「秀句賞」は「該当なし」となった。

最近支障者が多くなって参加者が少ないので、今年の吟行は開催を見合わせることとなった。また合同句集は隔年発刊の意気込みであったが、一年ほど繰り延べる方向で検討することとなった。
課題句 がっちりと両手で握る久し振り 井 上
ご贔屓にと鏡へお辞儀散髪屋
通学路挨拶交わす白い息 萩 田
「やあ」「よう」で時空が戻る古い友 松 岡
自由句 卒寿から電話もらって若返り 井 上
ローカル線駅ごと冷気乗ってくる
牛乳の次はペコちゃん泣いている 
今 村
初詣カミにホトケに息災を
消費期限守らぬ不二家お前もか
川 井
どの知事も逮捕前には嘘をつき
孫達にお昼おごって夜茶漬け
熊 本
いつのまに非核掟に四原則
ジム流行り健康までも金で買い
今様は腰に携帯手には鎌
少子化と言うのに減らぬポチ袋
重 本
獅子舞の太鼓の音に子が走り 萩 田
パソコンが退屈の虫なだめてる 松 岡





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