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平成18年8月27日(日) 
平成18年度「同期生夏の集い」 

「時代変われば病気も変わる」
医学博士 松本正久君 講話要旨



主な項目
外科医への道 終戦直後の病気 肺外科 心臓外科
現代の病気・死因 悪性新生物 (男性のがん (女性のがん)
心疾患 脳血管疾患 肺 炎 不慮の事故 自 殺
白血病 生活習慣病 感染症
診断機器の発達
略 歴






復員後中学に編入、旧制高校を経て1950年医学部に入る。その年の3月半ば生牡蠣で腸チフスに罹り、 40度の熱が1ヶ月位続く。意識は朦朧とし、主治医が往診のたびに20%ブドウ糖の静脈注射するだけが治療。「腸穿孔起こしたらイチコロ」と母親に告げたようである。骨皮になった末、5月末に何とか登校可能となった。  後年、駒込病院で腸チフス患者にクロロマイセチンを投与するのを見たが、その結果わずか数日で高熱から解放 抗生物質の威力に感激したものであった。
(注)戦後直後届出腸チフス患者:年間数万人、松本罹患のS25年5,000人位、H15年では62人

「外科医への道」
1954年(S29)医学部卒業、1年間のインターンを経て、1955年医師免許取得。外科医希望 
●外科医の修行の始まり
当時は血液、尿、便などの検査を自分でやったが、回虫卵が多く見られた。 1948年の統計では国民の71.1%が回虫持ち。集団検便駆虫が行われた。その後、人糞肥料から化学肥料への転換が進み、1992年では保有率0.02%に激減した。 その一方で寄生虫学者には、寄生虫駆除により花粉症が出現したという人もある。 
手術は虫垂炎、痔ろう、痔核、鼠径ヘルニアの手術に習熟から始まり、その次に胃潰瘍の胃切除などへ進む。 始めは来る日も来る日 @虫垂炎の手術 A痔核切除、B痔ろうの形成で多忙であった。 最近@は少なく抗生物質投与が第1選択、Aは便座の改良、肛門の管理向上で重症は見かけない。 B結核性の痔ろうは、当時はろう道が複雑で形成に手間取るような困難のもが多かったが、最近では、結核性はなくなり単純になった。
●当時の胃の病気
当時は胃潰瘍の患者多く、難治性のもので胃穿孔、潰瘍縁からがん化するものもあった。私は3ヶ月間内科的治療をしても治癒傾向が見られないときは胃の切除を奨めた。
診断はレントゲンの胃透視しかない(内視鏡は開発段階)。  今日胃潰瘍で胃切除になる例は激減。これは防御因子増強薬(イサロン、セルベックス、ノイエル、ムコスタ等)、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、プロトポンプ阻害薬、あるいはヘリコバクター・ピロリ菌の駆除などがあり、胃潰瘍の予防・治療容易になったと考えられる。
胃がん:当時は大きいガンが多い、19755年(H50):ガン性胃がん罹患率120人/10万人、1999年(11):90人弱(女性は56→34) 
昔は大きくなってしまったがんが多かったので根治を目指し開腹のうえ全摘し、リンパ腺郭清を至上とした。近年は内視鏡で早期発見、腹腔鏡下での全摘あるいは粘膜がん(早期がん)レベルの切除で済む。 王監督は4箇所穴明け腹腔鏡下の手術で全摘、傷の回復が早く退院も早い(進歩の例)

「終戦直後の病気」
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●性病
戦後性病が多かった。ペニシリンは市場に出始めたが高価、一般的には手が出ない。 診療所の手伝いで梅毒患者にサルバルサン(606号)注射をさせられた。砒素剤なので洩れると周り組織が壊死、緊張した。 当時罹病後日が浅いT期U期もあるが、以前に罹病して放置し3年以上のV期梅毒(体内にゴム腫瘤ができる)や、W期(20〜30年経つと脊髄や脳がやられる)の患者もいた。
精神科講義では、進行性麻痺で脳がやられた梅毒には、駆梅療法としてマラリア原虫を感染させるというのがあった。現在はペニシリン系薬剤がもっとも効果があり、簡単に治せる病気になった。
●引揚者の持ち帰り疾患
・マラリア:復員者や海外引き上げ者で苦しむ者が多い。キニーネ有効 今日では入手困難。予防薬として、ファンシダール、メファキン等
・その他:アメーバー赤痢、肝膿瘍、嚢虫症 等
・嚢虫症(脳):大陸の豚からと思われる。てんかん発作起こす。近年CTが出来てやっと診断でき、手術が可能になった
●高血圧
今日ではコントロール可能の対象。 当時高血圧は放置され、収縮期血圧200mmHg以上、血圧が拡張期130〜150mmHgはざら。今日では考えられない状況
薬としては、レセルピン(降圧剤)、フェノバルビタール(鎮静剤)などで、あまり効果なかった。
脳卒中には @脳出血 A脳梗塞がある。講義ではこれらの鑑別診断法を教わるが、当時は実際の患者は大きな脳出血がほとんどでAは稀でく、しかも自然の経過任せであった。
●今日で言う生活習慣病 
糖尿病はめったにいない。また痛風は教科書にはあるが見たことがない。

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「肺外科」

入局同僚の一部は肺外科へ進む。戦中戦後の結核の治療は外科的手段が多用された。 空洞があると、@肋骨をとる A胸膜腔に合成樹脂の球を入れて →空洞を潰す治療
その後治療技術向上、肺葉や区域を切除。 ストレプトマイシン、イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、PASなどの抗結核剤が発達。 死亡率が見る見る低下した。
死亡率 1940年(S15):212.9人/10万人、1950年(S25):146.4、 1955年(S30):52.3、2003年(H15):1.9   罹患率 24.8、先進国中では高い(スエーデン4.2、オーストラリア5.2、アメリカ5.2、デンマーク7.5、オランダ8.4、フランス9.5、イギリス11.7)
新規罹患登録患者のうち60歳以上が59.2%で、うち70歳以上は42.9%を占める。 年齢別罹患率で見ると、70歳以上は80.4人/10万人と高率。 若い頃結核に感染し結核菌はおとなしくしていたのが、高齢化で体力・免疫力が落ちての発病する人が多い。したがって現在の高齢者層が死亡する頃には罹患率は下がるであろう。




「心臓外科」

隣の第二外科は心臓外科 取り扱う疾患は、先天性奇形、リューマチ熱の後遺症(弁膜症)への、豚の弁、人工弁の適用が議論されていた。 現在は弁膜症を持った年代は消え去りつつあり、現在では、バイパス手術・移植、血管の再生が主体。
(閑話休題) 昔は慢性関節リウマチ熱で手足の関節が変形拘縮して苦しむ患者が多かったが、免疫学の進歩で治療も様変わりし、変形した患者は高齢者だけになった。

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「現代の病気・死因」

全死亡数
男女総計
1955(S30) 2003(H15)            
693,523 1,014,951    
(死因) 第1位:
悪性新生物
第2位:心疾患 第3位:
脳血管疾患
第4位:肺炎
第5位:
不慮の事故等
外因死
第6位:自殺






  ◎死因の1番目  悪性新生物
平成15年:悪性新生物による死亡者数約30万9,543人(S56年以来死因の第1位)

(男性のがん)
悪性新生物死亡数  男
1955(S30) 2003(H15)          
全がん 41,223 186,912
胃がん 22,899 32,142
肝がん 4,877 23,376
肺がん 1,893 41,634
大腸がん 2,079 21,026
前立腺がん 273 7,645 1955と2001のデータ

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●胃がん 現在日本人男性に多い胃がん患者は 169,000人(約17万人)くらい。危険因子は、高濃度食塩の過剰摂取、ヘリコバクタ・ピロリ菌の存在といわれている。
胃がんによる男子の死亡数は1995年頃から3万人前後で推移、早期発見・早期治療に向かっていて、死亡数が下がってきている。
年齢調整死亡率: 胃がん死亡率低下 S40:45.8 →H13:39.7      
初回入院患者5年生存率  S37:32% →H4:72%       
男性の胃がん死は悪性新生物死亡者中 S25:52.6% →H15:18,4% 激減
●肺がん 著増 H5:男性死亡数が始めて胃がんを上回る H10:男女とも第1位 罹患総数6万人くらいと推定、近い将来胃がんを抜くのでは。
危険因子:喫煙? 長年喫煙しても肺がんにならない人もいる。体質・遺伝子が関与?
はっきりした因子が断定されていない。
●肝がん 増加 8割方はB型肝炎、C型肝炎のなれの果て。       
肝炎ウイルスのコントロールが進歩しているので、やがては減りだすであろうと期待。
H13:死亡者数 23,596 →H15:23,376  微減
●大腸がん 増加 食物繊維成分が減り動物性脂肪の摂取増加(食の欧米化が関係)。
●前立腺がん 患者総数現在7万人くらい。時代と共に急速に増加。
ホルモン療法、根治手術、放射線治療、密封小線源永久挿入法等が治療法。
5年生存率:94.3%で成績はかなり良い。
年齢階級別死亡率 50歳未満:0、70〜74歳代:50、80歳以上:227
 

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(女性のがん)
悪性新生物死亡数  女
1955(S30) 2003(H16)
全がん 36,498 122,631                  
胃がん 14,407 17,393
肝がん 3,700 10,713                        
肺がん 818 15,086
大腸がん 2,160 17,883
乳がん 1,572 9,806
子宮がん 7,289 5,302
●女性の胃がん 減る傾向  全悪新生物死亡死に対して
S25:36.8%、H15:13.7%と1./3強に減る。     
女性胃がん患者9万2千人(男性17万人)
女性胃がん死亡率27.5(男性胃がん死亡率52.4)、もともと女性の胃がんは少ない傾向。
●女性の大腸がん  増加 食の欧米化の影響か
●女性の肺がん  増加
習慣的喫煙割合:男46.8%、女11.3%          
最も多い世代:男30歳代56.8%、女20歳代19.2%
70歳代以上:男26.6%、女4.2% 
●女性の肝がん 3倍に増えた   

●乳がん 6倍 今後増加が予測    
現在罹患率1位でH11の患者数169,000人位、今後さらに増加と推定。
昔は根治治療と称して、大胸筋も含めて大きく切除、リンパ腺の郭清も徹底して行った。 このため上肢の象皮病様変化を起こし患者を苦しめた。    
最近では、転移するものは早く転移するので、大きく切除するのは意味がないことが判明。したがって腫瘤と所属リンパ節の切除に止め、必要に応じて化学療法、放射線療法を併用する状況。
●子宮がん 減少傾向 
年齢調整死亡率 S30からH15へ1/4程度に低下している  
悪性新生物全体の中で占める割合:S25:26.3%、H15:4.3%と著しく減少。 頸部がん:性生活、出産に関係、人パピローマ・ウイルス感染が関与するのではと考えられている。
体部がん:欧米に多いが近時日本でも増えている。 
現在の頸部がん患者総数:29,000人位、体部がん19,000人位と推定される。早期発見・早期治療の結果、5年生存率も8割前後、死亡数は減少しつつある。

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「白血病」
医師になり立ての頃、白血病の患者は「生存不可能」といわれていた。    
いつの間にか、小児の白血病は比較的治り易く、それ以外でも不治の病でなくなった。化学療法と骨髄移植が駆使される。
骨髄移植は提供者と患者のHLA(白血球の型)が一致する必要あり、一致するのは数百人〜数万人に一人の頻度。家族の中に一致するものがない場合(一般に一致しないのが全患者の70%)、広く提供者を募る必要がある。
H3に骨髄バンク立ち上げ、H4.6から患者の依頼を受付開始  H17.3末現在、有効提供登録者数: 約20万4千人。移植実施例累計6,339例
近年臍帯血移植といい、臍帯から造血幹細胞を分離保存して患者に移植する。 現在、全国に11の臍帯血バンクあり、H16:667の移植を実施。 患者数は現在、男14,000人位、女12,000人位と推定される。  H13:6,490人が死亡、死亡率5.5。 5年生存率:50.0%弱 

  ◎死因の2番目  心疾患    
H15の患者数は159,545人    
虚血性疾患(心筋梗塞、狭心症など)が約半数。慢性リュウマチ性疾患、心不全と診断がついたものが含まれている。    
S60から2位、H7〜8に3位、H9からまた2位

  ◎死因の3位  脳血管疾患 
H15の死亡患者数は132,067人       
死亡率 S23:117.9、S35:160.7、S45:175.8と 上昇後低下に転じ、H15:104.7となった。       
脳内出血死亡率:戦後130前後、S35以後低下しH15:25.7     
脳梗塞死亡率:S26:5前後、S42:50  その後50台で推移。            
S50脳出血と脳梗塞の死亡率が逆転 脳内出血が減ったが脳梗塞はH7急増し、H15:64.2となっている。
くも膜下出血は、横ばいでH15:11.8 
脳卒中患者総数:S62:114万4千人、H14:137万4千人と推定される。要介護状態の3割が脳卒中後遺症といわれている。

  ◎死因の4位  肺炎     
現在の死亡数:94,942人
明治、大正、昭和初期には死因第1位。死亡率100〜400がS30代になり急速に減り、S40年代:30前後、S55頃からやや上昇、H15:75.3     
高齢者の死亡率が高く、80歳以上では死亡率は1,100
  ◎死因の5位  不慮の事故     
現在の死亡数:38,714人、死亡率はS62:23.2で最低、H15:30.7
乳幼児期13.5、交通事故死による青年期11.8、30歳代から高くなり、75歳以上169.0と高率になる。
種別では交通事故:28.2%、以下窒息、転倒、転落、溺死 と続く。

  ◎死因の6位  自殺     
S33:25.7をピークに、低い状態が続きS58から61にかけ上昇後低下、 H10から上昇傾向。H15:25.5     
男女ともS25.35頃に20〜24歳に大きな山、逐年山が低くなり25〜29歳へ移行、H15には50歳代で大きな山を形成、男女とも80歳代は高率。 
60歳以上では健康問題、経済・生活問題が動機の自殺増加。H15の40歳〜50歳の山は経済・生活問題が動機。

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「生活習慣病」
●糖尿病:医師になりたての頃は見なかった。現在740万人といわれている。    
HbA1cが5.6%以上の糖尿病予備軍を併せると 1,620万人。    
糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患の危険因子とされているが、合併症として糖尿病性腎症が問題。
H13、新規に透析導入患者13,632人。透析導入に至る原因疾患の41.0%は糖尿病である(全透析患者の29.2%は糖尿病腎症)。さらに糖尿病性網膜症により、年間3,000人が視覚障害者の認定を受けている。       
医師のなった頃では、腎不全患者は死を待つだけであった。
腎透析:S42頃から試みられ、S47に国公立病院に人工腎臓装置が整備され、H15:設置数92,710台、透析患者数237,710といわれている。
●腎移植:1978(S53)〜2003(H15) 累計:16,515例の腎移植。うち死体腎移植:4,197例
●高血圧症:昔は野放しだった高血圧症も、薬剤の進歩と共にコントロール目標が厳しくなった。
収縮期140 拡張期90 近頃それぞれ130、85へと厳しくしようとの動きがある。      
受療率 H14:外来で466 入院11 (10万人当り)、40歳代後半に急激に上昇し、壮年期に疾患として現れるようである。      
日本高血圧学会の統計(H12):男51.7% 女39.3が高血圧症
●高脂血症:日本動脈硬化学会       
血清総コレステロール:220r/dl以上、LDLコレステロール:120(140?)以上を高コレストロール血症、 空腹時の血清中性脂肪値:150mg/dl以上を高中性脂血症としている。
●痛  風:昔は見かけなかったが、いつの間にか痛風発作を目にするようになった。  
非ステロイド抗炎症剤が効き、尿酸産生阻害薬と排泄促進薬が駆使される。     
無症状の高尿酸血症には、食生活の改善、長期服薬管理など患者・医師の気長な対応が必要。
●体脂肪:体脂肪のうち、内臓脂肪はインシュリン感受性低下をもたらし、糖尿病や動脈硬化症を促進、虚血性心疾患・脳血管障害を引き起こす元凶と考えられるようになった(皮下脂肪は無罪)。
手軽に測定する方法なし。
以前はBody Mass Index(BMI):(体重kg)/(身長m)×(身長m)が25以上を肥満とした。

最近のメタポリックシンドロームの判定: 臍の高さで腹囲が男85cm 女90cm以上を内臓脂肪肥満とし、しかもこの該当者のうち下記の条件が2以上ある。内科学会が決めた。
併有条件: @ 血圧:130/85mmHg以上または服薬中
      A 中性脂肪(TG値):150mg/dl以上または服薬中
      B 空腹時血糖値:110mg/dl以上または服薬中、
       あるいはインシュリン注射中
      C HDLコレステロール値:40mg/dl以下 その他、尿酸7.0mg/dl以上
       とか、喫煙歴を条件に加える考えもある
「メタポリックシンドローム」は、脳・血管障害を起こす危険率が2〜10倍高い」 
はっきり確定してデータなし。当分議論されるのではないか。 

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「感染症」
●痘瘡の患者を見たことがない。有史奈良時代から観察されS20代までは大小の流行があったと記録されている      S31:国内最後の1例、またS48:バングラディシュからの帰国者、S49インドからの帰国者に各1例が見られた。        
1997.10.26:ソマリヤの患者が最後といわれ、1980.5.8:第33回世界保健総会で根絶宣言がなされた。      

●1981 アメリカで後先天性免疫不全症候群(AIDS)が報告。日本でも血友病治療の血漿製剤で感染、患者発生。  
H17.4.3現在、HIV感染者6,734例、エイズ患者3、336例 累積死亡者数1,357人。
ホモ感染者が主体。抗ウイルス剤の開発が進み、発症を抑え、症状の進行を抑えることが可能となった。
世界中では、4,000万人が罹患、2,000万人が死亡したとのこと。
昨年度は一日で約13,000人感染、8,000人が死亡したといわれている。
●1996 腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒発生、毎年発生

●1986 英国で肉骨粉を飼料とした牛に狂牛病(BSE牛海綿状脳症)が発生、いまだに尾を引いている。
英国で肉を食べて発症した人もある 日本では脳外科手術で死体硬膜を硬膜形成に使ったケースで感染(クロイツフェルト・ヤコブ病)か起きて問題となった。
●1997 抗病原性H5N1 18人発症 6人死亡と報ぜられた。
新しい鳥インフルエンザと同じウイールスを持ったもの。
●2002.11 広東省で重症急性呼吸器症候群(SARSサースコロナウィルスで感染) 2003にかけ、アジア中心に拡大 2003.7終息宣言。
この間、全世界で8,098人罹患、774人死亡。
●1999 アメリカ ウエストナイル熱発生。3年間で米国内に拡大、日本へは媒介の蚊が持ち込まれていない(無発症)。
●インフルエンザ:予防注射、診断キット、抗ウイルス剤(リレンザ、タミフル等)が普及し コントロールしやすくなった。  

●ノロ・ウイルス感染症:従来生カキで感染した。嘔吐・下痢 最近は食中毒でなく保菌者のために、保育所、老人ホーム等で散発発生。
1980年頃までは感染症は終息ムードではあったが、ジェット機による大量輸送発達で、 新興・再興感染症がグローバル化しつつある。


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「診断機器の発達」
CT、MRI、PET等の画像診断機器が発達して病気の診断や経過の観察がしやすくなった。 脳出血、脳梗塞なども簡単に鑑別可能。 スパイラルCTによって肺がんも早期発見可能。 超音波診断装置によって、内臓諸臓器の診断が革命的に発展。出産前の胎児状態や動きもはっきり目に出来るのも感激。
内視鏡の発達によって、胃がん・腸がんの早期発見が可能、粘膜がんの状態での早期手術可能化、小侵襲手術の発達に繋がった。
血管内カテーテルにより冠動脈狭窄のバルーニング、ステント挿入等が定着。
その他手術用顕微鏡、腹腔鏡、レーザー手術装置等 省略。
また、免疫学、細胞工学などが多大の貢献をしていることも忘れてはならない。

以上時代と共に疾患が変遷することを伝えたくお話をした次第である。




「略 歴」
東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部第一外科学教室を経て、中央鉄道病院脳神経外科主任医長、JR東京総合病院副院長、社会福祉法人東京弘済園園長を歴任。医学博士、日本交通医学会顧問、JR東京総合病院名誉院長、社会福祉法人東京弘済会非常勤嘱託医。




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