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◎昭和九年度
陸軍幼年学校(第38期)
入試問題
西宮生徒監提供
注:@現物は縦書。入力の都合上横書きとした。
  A可能な限り旧漢字通りに再現して入力した。
国語    地理    作文    歴史    理科    算術   


国  語
(1)
一、左ノ文ノ-----ヲ引ケル語ノ讀ミ方ヲ、答ノ處ニ書キナサイ。 
1.橋杭繋がれ纜が解かれると、二人の船頭は船の前後にあって
    とでをとり、夜來驟雨水嵩を増した川を元気よく漕いだ

橋杭

繋がれた

夜來

驟雨

水嵩

漕いだ

2.大將は凛々しい軍裝に身を固めから雙眼鏡を掛け、悠然として
    艦橋に立っている。

  威容宛ら神の如く、加之、その左右には幾多幕僚等が、今や遲しと
    震天動地大活劇を待っている。

凛々い

固め

悠然

威容

宛ら

加之

幾多

幕僚

震天

動地

大活劇

二、左の欄内ニ書イテアル語ノ讀ミ方ヲ、其ノ下ニ書キナサイ。

1.

參内

所謂

絶叫

草鞋

初陣

刹那

勿論

凝眸

咫尺

風濤

2.

委ぬ

剩へ

齎す

見較べる

軋る

囀る

慥に

蹂躪る

(2)左ノ□ノ中ニ、適当ナ漢字ヲ、明確ニ書キナサイ。
一、彼れが(タグヒ)(マレ)なる天(サイ)は、ここにも()(カン)なく(ハツ)()せられて、(チャク)(チャク)(コウ)(ヰキ)に進みたり。
二、(セマ)い島國に(ソダ)ち、(クァツ)の安易な(ラク)土に、平和を楽しんでゐた我が国民は、とかく引込()(アン)(オチイ)
  易く、(フン)(トウ)()力の精神に(トボ)しく、(イウ)()(イツ)に流れる(ケイ)(カウ)がある。
三、(カン)(ナン)汝を玉にすと古語にも言ってある。リンカーンが他日大(トウ)(リャウ)となり、世界の大人物として
  萬人に(アヲ)がるるに至ったのも、遠き種子は此の少年時代に()かれたので、彼れの少年時代に於ける
    (シヤウ)(ヂキ)
(ケン)(ソン)(ベン)(キャウ)とは、實にあらゆる少年青年の()(ハン)である。
(3)左の分ヤ句ヲ分カリ易ク解釋シナサイ
一、彼れの名譽此の上なしとやいはん。
二、技倆が伯仲してゐた。
三、其の偶然にあらざるを知るならん。
四、かくあらまほしきものなるかな。

五、委細の事は拜眉の節に讓り申候。
六、泰然自若と構へてゐた。
七、萬機の政を御親裁遊ばされる。
八、家業に丹精した。
九、出藍の稱があった。
十、盛況を呈するに至った。

(4)一、左の分ヲ分カリ易ク解釋シナサイ。

1.羣集は立錐の地を遺さず來集す。
2.余はここに圖らずも彼れと邂逅せり。
二、左ノ文ノ      ヲ引ケル所ヲ、次ノ同一番號ノ下ニ分カリ易ク解釋シナサイ。
(1)古人に景仰すべきもの甚だし。彼れの如きその一人なり。(2)事業の宏壯
(3)施設の警拔(4)氣宇の洪闊(5)千古絶倫というべし

(1)      (2)      (3)      (4)      (5)

(5)

左ノ各々ノ漢字ヲ用ヒテ熟語ヲ一ツヅツ作リナサイ。
 
  (護) (慕) (察) (遷) (想) (爆) (審) (歡) (勤) (嚴)

二、左ノ{ }ノ中ニアル上下ノ語句ヲ最モ意味ノ明瞭ナルヤウニ、二ツヲ結ビ線ヲ引キナサイ。
彼れは

沈毅にして

友誼を重んじ

遂に宿志を大成せり

品行方正にして

特に歴史に趣味を持ち

讀書を好み

寡黙

堅忍不拔

時間を徒費せず

精勵にして

努力をつゞけて

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地  理
(1)左ノ圖中直線ヲ以テ示セル所ノ名稱ヲ各線ノ傍ニ記セ。
(2)
一、イ、樺太・北海道本島間 ロ、北海道本島・本州間 ハ、本州・朝鮮間
   の鉄道連絡航路ハ何港ト何港トノ間ニ行ハレテイルカ、左ノ括弧内ニ記セ。
  イ、(      )  ロ、(        )  
    ハ、(      )
二、左ノ地名ニツキテ知ルトコロヲ記セ。
イ、コロール島  ロ、清 津  ハ、馬公港  ニ、シンガポール
ホ、キュバ島(キューバ島)


作  文
文 題 私ノ見聞シタ感心ナ事
         注意 文體ハ口語體デモヨイ。假名ハ平假名デモ片假名デモヨイ。



歴  史
一、雄略天皇ノ御治績ヲ問フ。
二、弘安ノ役ニ就キテ左ノ二項ニ答ヨ。
イ、我ガ軍及ビ敵軍ノ有名ナル將士四人ノ名
ロ、我ガ軍勝利ノ原因
(2)
一、皇大神宮ノ起リニ就キテ記セ。
二、下関条約ニ就キテ左ノ三項ニ答ヘヨ

イ、我ガ代表者ノ名
ロ、清国ノ代表者ノ名
ハ、条約ノ内容
(3)左ノ三項ニ就キテ左ノ三項ニ記セ
イ、文屋綿麻呂(文室綿麻呂)
ロ、船上山
、海国兵談


理  科
(1)
1.三角ノ柱ノ形ヲシタ硝子ノ一ツノ面ニ日光ヲ當テテ出タ光ヲ白イ紙ニ當テルトキ、

イ、ドウナルカ。
ロ、右ノ圖ニ光ノ進ム道筋ヲ書ケ。
ハ、コノヤウナニナル理ヲ 記セ。
2.硫酸ト硝酸トノ性質ヲ較ベテ書ケ。
イ、似テイル性質   ロ、違フ性質
(2)
1.炭素同化作用ハ植物ノドノ部分デドウシテ行ハレルカ。
2.蚊ニ就イテ知レルダケ書ケ。


算  術


(1)或ル人20ダースノ鉛筆ヲ子供若干人ニ分配スルニ、最初1人ニ3本ヅツ
  與ヘタルニ9ダースト3本殘リシヲ以テ更ニ2本ヅツ與ヘタリトイフ。
  然ラバ鉛筆ハ幾ダース残リシカ。
    (注意 簡単ニ説明ヲモ記スベシ。方程式ヲ用ヒテ解クヲ許サズ。)
(2)地球全表面ノ陸ト海トノ面積ノ比ハ71:109ナリトイフ。南半球ニ
   於ケル陸ト海トノ面積ノ比如何。又地球全表面ノ面積ヲ5.1億平方粁
   トセバ地球全表面ノ陸ノ面積ハ約幾億幾千萬平方粁ナルカ。
   (注意 簡單ニ説明ヲモ記スベシ)
(3)
   イ、3528ヲ素因數ニ分解セヨ。
   ロ、12、16、18ノ何レニテ割ルモ殘ル數ニ中、1000ヲ越ユル
          最小ナルモノヲ求メヨ。 
     (注意 運算ヲ明記セヨ)
(4)甲乙二人アリ。初メ甲ノ所持金ハ乙ノ所持金ノ
倍ナリシニ、其ノ後
   甲ハ24圓、乙ハ13圓ヲ   得タルタメ、甲ノ所持金ハ乙ノ所持金
   ノ倍トナレリトイフ。甲乙最初ノ所持金ハ各如何。
   (注意 簡單ニ説明ヲモ記スベシ。方程式ヲ用ヒテ解クコトヲ許サズ)
(5)次ノ各式ヲ計算セヨ。

イ、                                  

ロ、

   (注意 運算ヲ明記セヨ)

(6)

イ、次ノ方程式ヲ解ケ。

       

    (注意 運算ヲ明記セヨ)

    ロ、或人毎時4kmノ速サニテ甲地ヨリ乙地行ク豫定ナリシニ、初メ2km進ミシ時
    忘レ物アルニ気附キ、其ノ後毎時5kmノ速サニテ甲地ニ引返シ、直チニ乙地ニ
    向ヒタルニ、丁度豫定ノ時刻ニ乙地ニ到着セリトイフ。甲乙両地間ノ距離ヲ
    求メヨ。
      (注意 方程式ヲ用ヒテ解キ、簡單ニ説明ヲモ記スベシ)

                                                                                                                 


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