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国立自然教育園(H17.3.29)

今年(2005)年の春は、白金台の自然教育園(国立科学博物館の附属施設)に吟行した。東京地方は桜の開花予想が3月27日なので、この吟行に間に合うかと期待したが、ここへ来て開花のテンポが鈍り間に合わず残念であった。

ここは、室町時代に白金長者が屋敷を建てたという伝説のある庭園跡で、広さは20万平方米、ひょうたん池の東に「物語の松」西に「大蛇の松」と名づけられた樹齢200年を越える松があり、スダジイ、コナラなどの雑木が鬱蒼と茂って武蔵野の面影を残している。マンリョウ、センリョウ、ヤブレガサ、ヤブランエビネ、ふきのとうなど山野草も多く見られ、天然記念物、史跡にされている。

この公園の中で、句即快乃会の柳人5人(井上、尾崎、川井、榊、萩田)、桜の開花が遅れ、曇り空で少し寒い陽気の中、懸命の句作に取り組んだ。あとは目黒の香港園で句会を開き、井上君が佳吟賞と秀句賞という快挙を成し遂げた。<><>萩田記<><>

入口附近 一つひとつ名前を確かめて 白金の由来
ひょうたん池 自然に囲まれた池 吟行参加者一同
写真はすべて萩田君提供



まんりょうを恨めしく見る破れ傘
森の道に落武者めいて椿散る
井上 つよし
しろかねの森武蔵野の影残す 尾崎 卓司
啓蟄の虫も寒さに逆戻り 川井 十郎
文豪の武蔵野偲ぶ楢木立 榊  龍雄
大蛇の松白金長者の昔知り 萩田  威

つけたり(自然教育園のホームページなどから)
自然教育園の生い立ちは、平安時代の地方豪族の館から始まり、江戸時代に松平讃岐守頼重(高松藩主)の下屋敷、明治に入り海軍省火薬庫(明治5年)、 陸軍省火薬庫(同26年)、宮内庁白金御料地(大正6年)を経て、昭和24年「天然記念物および史跡」に指定され、国立自然教育園として一般に公開された。昭和37年には「国立科学博物館附属自然教育園」となった。園内には、 国天然記念物・史跡約20万点があり、台地、湧水池、小谷、湿地などが自然の姿で保たれており、今なお武蔵野の面影をしのぶことができる。

また、南北朝(平安時代・南北朝・室町時代)頃の白金長者の館跡と思われる土塁が原形に近い状態で残っている。一回りするのに2時間程度掛かり、小鳥のさえずりを聞きながら、ぶらり散歩に絶好である。

隣接地には、旧朝香宮邸として昭和8年 (1933年)に建てられた建物を、そのまま美術館として公開された、東京都庭園美術館がある。

・都心にあるとは思えない自然にあふれた場所で、季節ごとの木の表情を楽しむことができる。
・室町時代からの太い松など、大木もあり、その豊かさに驚かされる。
・自然保護のため、同時の入場者数が300名を超えないよう、制限されている。
・毎週日曜日午後1時30分と午後2時30分から、自然の理解を助けるための教育活動が行われており、子供にも楽しみながら、自然の理解が進むよう工夫がされている。
・天然記念物の指定を受けた庭園。
・遊具で遊ぶという場所ではない。弁当持参の人もいる
・夜はカラスの寝床。


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