抜刀隊
(陸軍分列行進曲)
抜刀隊は、西南戦争の時活躍した官軍の抜刀隊の姿を描いたもので、明治15年刊「新体詩抄」にて発表された。同18年陸軍のお雇い軍楽教師ルルーがこれに曲をつけ、わが国最初の洋式軍歌が誕生した。また「扶桑歌」とも呼ばれ、「分列行進曲」に用いられ長くなじまれてきた。
(軍歌集 雄叫より)
作詞:外山 正一 |
作曲:ルルー |
一 | 我は官軍我が敵は 天地容れざる朝敵ぞ 敵の大将たる者は 古今無雙の英雄で これに従う兵は ともに慓悍決死の士 鬼神恥じぬ勇あるも 天の許さぬ反逆を 起せし者は昔より 栄し例あらざるぞ (以下4行2番以下繰り返し) 敵の滅ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜きつれて 死する覚悟で進むべし |
二 | 皇国の風(ふう)と武士(もののふ)は その身を護る霊(たましい)の 維新このかた廃れたる 日本刀の今さらに また世に出ずる身の誉れ 敵も身方も諸共に 刃の下に死すべきぞ 大和魂あるものの 死すべき時は今なるぞ 人に後れて恥かくな (繰り返し) |
三 | 前を望めば剣なり 右も左も皆つるぎ 剣の山に登らんは 未来のことと聞きつるに この世において目のあたり 剣の山に登るのも 我が身のなせる罪業を 滅ぼすために非ずして 賊を征伐するがため 剣の山もなんおその (繰り返し) |
四 | 剣の光ひらめきは 雲間に見ゆる稲妻か 四方に打ち出す砲声は 天に轟く雷か 敵の刃に伏す者や 丸(たま)に砕けて玉の緒の 絶えて墓なく失する身の 屍は積みて山をなし その血は流れて川をなす 死地に入るのも君のため (繰り返し) |
五 | 弾丸雨飛の間にも 二つなき身を惜しまずに 進む我が身は野嵐に 吹かれて消ゆる白露の 墓なき最後遂ぐるとも 忠義のために死ぬる身の 死にて甲斐あるものならば 死ぬるもさらに怨みなし 我と思わん人たちは 一歩も後へ引くなかれ (繰り返し) |
六 | 我今茲に死なん身は 君のためなり国のため 捨つべきものは命なり たとい屍は朽ちぬとも 忠義にために捨つる身の 名は芳しく後の世に 永く伝えて残るらん 武士と生まれた甲斐もなく 義もなき犬と言わるるな卑怯者となそしられそ (繰り返し) |