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会  務  報  告

理 事 長  福 田 一 彌

                     
1.全  般

 
偕行社は、3月29日、「寄附行為の一部改正」が厚生労働大臣と防衛大臣の連名で認可され、永年の念願であった厚生労働省と防衛省の共管法人になった。寄附 行為第四条の目的には陸上自衛隊殉職隊員の慰官等陸上自衛隊に対する必要な協力を」第五条の事業には「陸上自衛隊殉職隊員の慰霊等」が加わり、全国の自衛隊(特に陸上自衛隊)に対する密接な連携と協力が一段と推進できることとなった。また、共通の理念と志で結ばれた旧会員と幹部自衛官会員の使命とも言うべき「わが国の防衛・安全保障」への寄与という面でも大いに道が開けたものと喜んでいる。
 現在は、20年12月から移行する新公益法人制度に向けて公益財団法人として認可を得られるよう新定款の作成に取り組んでいる。
 また、元幹部自衛官会員は、この1年間で427名の増加を得て850名となったが引き続き重点施策として積極的に入会の促進を図って行きたい。


2.会 員

 本年9月1日の会員数は、正会員9,353名、家族会員等2,378名、合計11,731名である。昨年10月から本年9月までの1年間を元幹部自衛官会員入会促進期間と定め、期間内に正会員の倍増を図ることを目標とし、数的には倍増を果たしたが、内容的には自衛官会員による継承基盤をつくる人員の確保が出来ていない会もまだ多くあるので、全国のすべての偕行会が早急に自衛官会員により継承できるよう新年度も元幹部自衛官会員の入会促進を推進して行きたい。

3.全国偕行会会長会同

 10月12日、各地偕行会長にお集まりいただき、靖國神社昇殿参拝の後、靖國会館の偕行の間において全国会長会同を実施した。今年度は、戦後創立50周年ということもあり各地偕行会から会長のほか1名の元幹部自衛官会員の同行参加を得て、今後の偕行社運営に係わる重要事項(主として「新定款第一次案」)について熱心に意見交換を行った。

4.常設委員会

(1)総務:@創立50周年記念行事の一環として、記念論文の募集と入選者の表彰、永年にわたる偕行社に対する協力・支援をいただいた会員以外の功労者に対し、記念品を贈呈した。A総務委員会内に「新定款作成部会」を設置し、広く適任の人材を募り6月から検討を開始し、第一次案を作成、引き続き最終案作成に向け努力中である。

(2)援護:@靖國神社、千鳥ケ淵戦没者墓苑、自衛隊殉職者慰霊碑に対する月例参拝には、昨年までと同様、毎回50〜60名が参加した。A昨年から市ケ谷台のメモリアルゾーンに祀られている阿南大将をはじめとする慰霊碑の「市ケ谷台慰霊祭」を偕行社が主催して催行した。B全国に存在する陸軍墓地の調査を各偕行会に依頼し、所要の成果を得たが、今後の慰霊のあり方等について各地偕行会の意見を得て検討して行きたい。

(3)厚生:本年8月までの1年間の会館利用者数は、延べ28,808名で昨年に比し2.3%の減少であった。勤務員1名の削減、「みくに」との解約に伴う事務局による直営、営業時間の短縮等の変化があったが、昨年まで8〜10%の減少が続いていた傾向が多少改善された。引き続きサービスの向上に努めて行きたい。

(4)編集:機関誌『偕行』は、「全国護国神社総覧」を掲載した8月号の112頁を含み、月平均81頁で発行している。昨年より2頁少なくなったが、元自衛官会員による投稿記事が多くなり、逐次会員以外の読者にも関心の持てる『偕行』にして行きたい。 50周年記念論文の人選作2編を逐次掲載する。

(5)財務:18年度は、17年度に引き続き運用財産の自主運用と経費の一層の節減により、15年ぶりに僅かながら黒字を達成した。 18年度は株式の目減り分か若干解消したこと、円安による外国債の利益等の好条件に恵まれたこともあるので、引き続き気を引き締め赤字体質の解消に努力中である。

5.靖國偕行文庫

 
本年8月末現在、諸蔵書は10万冊を超え、閲覧者の会館利用も毎年増加しており、18年度は5,700人を上回り、文庫建設の趣旨に則した運営がなされている。なお、会員の高齢化に伴い、旧軍関係の資料の人手が益々困難になっているが、引き続き自衛隊の創業期の資料とあわせ収集して行きたい。

6.近現代史の研究成果の広報

(1)昨年から実施して来ている近現代史の研究会は、逐次会内外の関心が深まりつつあり、成果はその都度、『偕行』誌で紹介しているが、新年度にはブックレット等を作成し広報に努めたい。

(2)防衛省の主任務に「国際平和協力活動」が加わり、わが偕行社においても「安全保障に関する研究と提言」と並び公益事業の一つの柱として「国際平和協力活動に関する研究と提言」を加えるよう定款作成部会から12月の評議員会に至るまでの検討議決を得て行きたいと考えている。来年度からは、近現代史研究に加え、安全保障や国際平和協力活動の問題について会以外の有識者等の参加も得て、幅広く、発表・討論・提言のできる事業を計画して行きたい。

7.新「定款」の作成

(1)6月からの「新定款作成部会」により第一次案が作成され、9月の常務会の審議を経て、全評議員に第一次案を郵送して見て頂いており、昨日の全国会長会同でも紹介してご意見を伺った。さらに防衛省・厚生労働省と疑問点等の解決も含め詰めて参りたい。

(2)今後は、年内に山頂の成果を取り入れて第一次案を修正し、12月の理事会、評議員会の議決を得て「定款」内容の基本的事項を決定したい。新年度に入り施行規程等の整備作業を行うとともに19年12月に示される税制・経理上の諸規定への対応を検討し、20年8月頃までに最終案を作成し、両省との調整及び公益認定等委員会の事前指導を得て完成したい。

(3)20年末の評議員会を例年より若干早め、新法律に定められた新評議員及び新役員の選出を行うとともに「定款」最終案を議決し、20年12月1日の新制度移行と同時に認可申請を実施する計画である。

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